認知症の治療・リハビリ

臨床美術の実際2:認知症になっても輝いて生きる

認知症の治療・リハビリ教室は、グループワークが主流です。参加は、あくまで担当医の所見に基づき、家族および本人の意思を尊重するものとしています。
また、介護者同士がファミリーケア・アドバイザーを交えて話し合えるケアタイムを設けています。
ケアタイム以外の週は、介護者もアートワークに参加します。介護者にとって制作自体が癒しになると同時に、制作中の参加者のいきいきとした様子が気持ちの支えとなります。
医師による診療、臨床美術士のアートワーク、ファミリーケア・アドバイザーのサポートの3点が、治療・リハビリ教室の基本です。

クラスの基本構成

毎月3回の実施が基本です。1回の時間は約2時間です。
症状によってクラス分けをしています。1クラスの定員はクラスによって5~10名です。介護者も参加し、制作します。
月に2回はファミリーケア・タイムです。

ご家族の感想文(抄)

認知症の予防と回復は私ども老夫婦にとって切実な問題でした。
お医者さんの薬だけでなく、何か良い手だては無いかとここ数年悩んでまいりました。
“芸術を楽しみながら認知症の症状を改善して進行を止める”という臨床美術の理念に深く感銘し、教室に参加させていただき心から感謝申し上げます。

最初は少し戸惑いましたが、出席の回を重ねるごとに(充分とは言えませんが)少しずつ意欲がわいてきました。
今となってはよかったなあと嬉しく思っております。
この年齢になって、苦手な絵を描くなどとは思いもよらぬことでしたが、予期しなかった収穫が得られました。

先生方のお心配りとご指導でとにもかくにも作品が仕上がったと喜び、引っ込み思案で消極的な家内ですが、自分の作品をリビングに飾ったり(ガラス絵)、置いたり(新聞紙のパイナップル)、掛けたり(Tシャツ)しているところを見ると、とても嬉しがっているのがわかります。
夫婦共通の話題ができて会話が弾み、いくらかずつでも笑顔や明るさが出てきたことは、創作活動のおかげだと感じております。
今まであまり持たなかった色彩と造形についての関心を、家内ともども持ちつづけていきたいと考えております。
この受講を契機として、記憶力、理解力、判断力、実行力、集中力、維持力などの改善・強化、“うつ”状態からの脱却を願っておる次第です。

臨床美術が、生きがい対応型デイサービス施設や生きがい活動支援のデイサービスセンターにも導入されることをお願い申し上げます。

(77歳・男性)

参加者の声(談)

美術といえば写生だと思っていましたが、臨床美術は自分がどのように感じるか、それをどのように表現するかが中心です。

初めての経験で戸惑いましたが、講師の先生やお仲間と制作を進めるうちに、感じて、考えて、表現することがどんどん楽しく、頭を使うことが好きになってきたのです。

この年齢になってこんな喜びと出会えるとは思っていませんでした。

制作を重ねることで自信を回復し、仲間も出来て、日々の生活にも積極的になった気がします。

(70代・男性)

ご家族の声(談)

絵を描くことがリハビリになるのかと半信半疑でしたが、臨床美術は普通の絵画教室とは全く異なるアプローチで、制作が進むにつれて、本人の表情がいきいきとしてくるのが見て取れました。
家族も離れた席で同時に制作するので、家でも作品を見ながら一緒に話ができるし、孫も寄ってきて、家族の会話が増えました。
お気に入りの作品を額に入れて飾ったりして、口では「苦手」といいながらも毎回楽しみにしているのがわかります。
脳の活性はもちろんですが、一家の生活が明るくなったことが思がけない喜びです。

ファミリーケア・アドバイザーを中心に、同じ悩みを抱える家族同士で話せる時間があることも気持ちの安定につながっています。